一蹴 本とか映画とかドラマとか

本、映画、ドラマをとりとめなく語るブログ

リスキリングの重要性と『ULTRA LEARNING 超・自習法』に学ぶウルトララーニング

社会人になると、日々の業務に加え、新たなスキルを身につけることが求められる時代になってきた。特にICT分野では急速な変化に対応するため、リスキリングが必要とされ、関心を集めている。 しかし、自分の仕事以外の技術習得となると、負担に感じる人も多…

地球温暖化と「死滅回遊」

「死滅回遊」と聞いて、漫画『呪術廻戦』を思い出す人は多いだろう。なぜなら、この言葉を耳にするのはほぼこの作品に限られるからだ。 『呪術廻戦』における「死滅回遊」を説明すると、これは『呪術廻戦』に登場する呪術を使う術者たちが互いに命をかけて戦…

「社会科」の苦手を和らげるために『世界史と地理は同時に学べ!』はどう?

はじめに 我が愛娘は「歴女」である。大河ドラマは小学校4年生の頃に一緒に観ていた『麒麟がくる』から毎年欠かさず、いや毎週欠かさず視聴しており、NHK公式ガイドブックを手元に置いてドラマを観ている。今年、令和6年の大河ドラマ『光る君へ』も大好物ら…

哲学的なテーマもあるしっかりあるSF『ミッキー7』

小説のネタバレを回避しながら感想を伝えるのは素人にとって難しい。日曜の朝刊の書籍紹介を読むと、その難しさを実感する。彼らはネタバレを避けつつ、読者に本を読ませたくなる文章を書いており、さらには我々をスマホを開いてAmazonのページに誘導させる…

人が死なないミステリ『ロンドン•アイの謎』

『ロンドンアイの謎』はヤングアダルトミステリのジャンルに分類されるであろう、「人が死なない」ミステリ作品だ。 著者のシヴォーン・ダウドは2007年に『ロンドンアイの謎』を刊行するも翌年、乳がんで47歳という若さでこの世を去った。(詳細はこちら:リ…

本のタイトルが長くて気になったら手に取ろう『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』

済東鉄腸さんは、千葉に引きこもりながらルーマニア語で短編小説を書いているという、非常にユニークな作家だ。 彼はクローン病という難病を患っており、東京までの移動も大変な苦労を強いられている。クローン病は腸における自己免疫疾患であり、腹痛や下痢…

綺麗な図版で知的好奇心を満たす『ドーキンスが語る飛翔全史』

ドーキンスの語る「科学」はいつもわかりやすい。たまにその語りが伝えたい内容のテーマから横にそれることもあるが、それも知識として無駄のないものなのだ。そんなドーキンス節が味わえるのが『ドーキンスが語る飛翔全史』である。 どんな本? 『ドーキン…

今シーズンのF1が開幕したけどNetflix『Formula 1: 栄光のグランプリ』でおさらいしよう

ここ数年は、F1が開催される直前に必ずNetflix 『Formula 1: 栄光のグランプリ』を観るようになってしまった。シーズンのおさらいをしているつもりであるが、内容としてはどうしてもスキャンダラスな出来事が取り上げられている印象である。シーズン5は、レ…

リバタリアンだらけの街は住みやすいのか?『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』

リバタリアンと言われても、日本ではピンとこない。そして、その思想を高らかにこの国で叫んでも、なびく人は少ないだろう。そんなことを言うと日本のリバタリアンからおしかりをうけそう。では、リバタリアンの定義をここでみてみよう。 リバタリアンとは何…

シーズン2まで待てないNetflix『ウェンズデー』

みんなが大好きアダムスファミリーの長女ウェンズデーを主人公にしたNetflixドラマ『ウェンズデー』はもう観たでしょうか?各所で絶賛のこのドラマ。シーズン2の配信も決定されてNetflixドラマ『ストレンジャーシングス』に次ぐ人気ドラマシリーズなりそうな…

アイロニーとユーモアがつまった『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』

タイトルどおり現在はイギリスから熊が存在しないらしい。 その事実を踏まえてミック•ジャクソン風の皮肉の効いた奇妙な熊たちの物語へと料理された短編集である。 なぜイギリスから熊がいなくなったのか なぜイギリスから熊がいなくなったかを調べてみると…

人が物語に騙されないために読む本『ストーリーが世界を滅ぼす』

2022年の夏ヨーロッパを熱波が襲った。その熱波の数日前、イギリスのモーニングショーの天気予報のコーナーで気象予報士が40度以上の熱波で多くの人が死亡する可能性があると警笛をならした。しかし、司会の女性は取り合わず「この天気を楽しんでいたいだけ…

ハロウィンの夜にオススメのマーベルドラマ『ウェアウルフ•バイ•ナイト』

Disney+にて配信されている『ウェアウルフ•バイ•ナイト』はマーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーションという位置づけの単発のドラマである。MCU(マーベル•シネマティック•ユニバース)初のR15指定。 あらすじ 豪邸に集められたハンター達。亡きリ…

アメリカ労働者の暗部も見せてくれるドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』

今年の海外ドラマは良作が多い。その中でも物語の構成と展開がすばらしかったり、人間ドラマを魅せてくれるドラマはやはり面白い。Disney+で配信されているドラマ『一流シェフのファミリーレストラン(原題 The bear )』もそのひとつに加えてもよいドラマ…

地政学本の入門としていかが?『恐怖の地政学』

ニュースを見ていると、なぜロシアはウクライナに侵攻したいの?と漠然とした感じでネット検索してしまう。結果として理由が次々とでてくるのだか、まずそれは横に置いといて、地政学的にどうなんだ?と思ったのなら大規模な書店に行くとよい。平積みのコー…

アンディ•ウィアー『アルテミス』も読んでおこう

現在SF小説で大ヒットしているのは『プロジェクト•ヘイル•メアリー』。アンディ•ウィアーの長編小説第3作である。ライアン•ゴスリングが主演で映画化も決定している。 もし『プロジェクト•ヘイル•メアリー』をアンディ•ウィアー作品として初めて読んだのな…

シーズン2が待ちどおしい AppleTV +ドラマ『セヴェランス』

いままで観たことのないようなドラマを教えてほしいと聞かれたら真っ先に教えたいドラマはApple TV+の『セヴェランス』。仕事とプライベートの記憶を「分離」しルーモン産業という会社に勤める人たちを描いたスリラードラマだ。不思議な魅力のあるスリラー…

『オスマン帝国-繁栄と衰亡の600年史』で600年の歴史と世界史を同時に学ぶ

歴史の堅苦しい本は飽きるし、項数多くて分厚いし、硬い文体で眠ぬて読めなくなる本が多いので、新書で読みやすい『オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史』(以下『オスマン帝国』)を手にとってみました。 この『オスマン帝国』は600年余りのオスマン帝国の通…

天才ピアニスト ファジル•サイの最新アルバムが素晴らしい

天才ピアニスト ファジル•サイの最新アルバム『Say Plays Say3』が昨年10月に配信リリースされた。 楽器はピアノひとつ。それとわずかに聞こえるファジル•サイの息遣いでこのアルバムは形作られている。 ピアノひとつでこんなに表現できるのかという驚きを与…

Netflixドラマ『真夜中のミサ』はホラーが苦手でも楽しめるホラー作品

ホラー作品が苦手だけど、気になるホラードラマや映画ってのがよくある。Netflixリミテッドシリーズのホラードラマ『真夜中のミサ』もそのひとつ。わたしの場合コジプロの小島秀夫監督が絶賛していたツイートを見かけてから、気になりはじめて、観るか迷って…

原作もオススメ『ザ・ゴールドフィンチ』

同名小説が原作の映画で、YouTubeチャンネル『文学賞メッタ斬り』で豊崎由美さんが原作を紹介してました。『ザ・ゴールドフィンチ』は各種動画配信サービスでレンタルできます。 あらすじ 主人公テオは少年時代に母親と美術館で爆破テロにあう。母親を亡くし…

SFでミステリで『書架の探偵』

ジーン•ウルフの作品を何か読みたいんだか何がいいの?と聞いてみたら、誰かが『デス博士の島その他の物語 』をオススメしてきた。タイトルとカバーとレビューを見ただけで遠慮してしまって、もうちょっと軽めの作品をと希望した回答が『書架の探偵』だった…

ミステリコメディ『マーダーズ・イン・ビルディング(原題:Only Murders In The Building)』がおもしろい

あらすじ ニューヨークにある高級アパートメント。顔見知りではない住人の3人が出会い、犯罪系ポッドキャストが好きがこうじて意気投合する。同じ高級アパートメント内の住人が不自然な死を遂げたことを知り、殺人と判断して3人に解決しようと試みる。それと…

『誓願』はディストピア小説にとどまらない

『侍女の物語』の続編『誓願』 マーガレット•アトウッド『誓願』は同作家『侍女の物語』の続編。舞台は前作から15年後の世界。単に「フェミニズム文学」と言ってしまうと、そうなんだけど、その先入観で読みすすめてしまうと思うので、もっとエンタメ的な視…

『The Coddling of the American Mind』は教育者向けの本だった。

はじめに ツイッターのタイムライン上で題名を見ただけで吸い寄せられるようにkindleでポチった未邦訳だった本書。 当初は気が引けていたが、英語圏読者の感想がポジティブで、内容も面白そうだったのと、ノンフィクションなので、英語の言い回し(比喩と引…

『三体Ⅲ 死神永世』やはり凄いSFだった

『三体』三部作が3巻目『死神永世』(ししんえいせい)で完結した。完結したあとも、本書の解説に書かれているように、本国ではファンメイドの外伝小説が生まれたり、Netflixでドラマシリーズの告知もされた。本国で発売されて10年ほど経っても『三体』の勢…

海外ドラマっぽいアニメ『オッドタクシー』

2021年4月から放映されたアニメ『オッドタクシー』は、我が家のAmazon primeのダッシュボードを起動するたびにプッシュされていた。しょうがないと思い第1話を観たら面白くてイッキ見してしまった。 登場キャラクターがかわいい感じの動物たちの風貌とは裏腹…

子育て中に読みたい『子どもが育つ魔法の言葉』

子どもは親の鏡 とは本当言い得て妙。 この本の冒頭はこの題名の詩が書かれています。 誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ 愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ 認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる 見つめてあげれば、子どもは…

ディックのSFではない作品『市に虎声あらん』

フィリップ•K•ディックが23歳のときに書いたSFではない文学作品。 あらすじ 主人公のスチュアート•ハドリーはTV店で働いている。自分は何かと違うと感じながら、あるとき、黒人教祖のベックハイムの説法を聞きいって、ベックハイムに会いにいってから、ハド…

今年読みたいSFのひとつ『最終人類』

『最終人類』は上下巻に分かれた長編SF小説。上巻は人類の主人公が種族の違う異星人の仲間たちと目的をもって宇宙に飛び出し、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』さながらの雰囲気。下巻では急転直下の展開で、壮大で哲学的なテーマになる。『三体…