一蹴 本とか映画とかドラマとか

本、映画、ドラマをとりとめなく語るブログ

2021-01-01から1年間の記事一覧

ミステリコメディ『マーダーズ・イン・ビルディング(原題:Only Murders In The Building)』がおもしろい

あらすじ ニューヨークにある高級アパートメント。顔見知りではない住人の3人が出会い、犯罪系ポッドキャストが好きがこうじて意気投合する。同じ高級アパートメント内の住人が不自然な死を遂げたことを知り、殺人と判断して3人に解決しようと試みる。それと…

『誓願』はディストピア小説にとどまらない

『侍女の物語』の続編『誓願』 マーガレット•アトウッド『誓願』は同作家『侍女の物語』の続編。舞台は前作から15年後の世界。単に「フェミニズム文学」と言ってしまうと、そうなんだけど、その先入観で読みすすめてしまうと思うので、もっとエンタメ的な視…

『The Coddling of the American Mind』は教育者向けの本だった。

はじめに ツイッターのタイムライン上で題名を見ただけで吸い寄せられるようにkindleでポチった未邦訳だった本書。 当初は気が引けていたが、英語圏読者の感想がポジティブで、内容も面白そうだったのと、ノンフィクションなので、英語の言い回し(比喩と引…

『三体Ⅲ 死神永世』やはり凄いSFだった

『三体』三部作が3巻目『死神永世』(ししんえいせい)で完結した。完結したあとも、本書の解説に書かれているように、本国ではファンメイドの外伝小説が生まれたり、Netflixでドラマシリーズの告知もされた。本国で発売されて10年ほど経っても『三体』の勢…

海外ドラマっぽいアニメ『オッドタクシー』

2021年4月から放映されたアニメ『オッドタクシー』は、我が家のAmazon primeのダッシュボードを起動するたびにプッシュされていた。しょうがないと思い第1話を観たら面白くてイッキ見してしまった。 登場キャラクターがかわいい感じの動物たちの風貌とは裏腹…

子育て中に読みたい『子どもが育つ魔法の言葉』

子どもは親の鏡 とは本当言い得て妙。 この本の冒頭はこの題名の詩が書かれています。 誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ 愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ 認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる 見つめてあげれば、子どもは…

ディックのSFではない作品『市に虎声あらん』

フィリップ•K•ディックが23歳のときに書いたSFではない文学作品。 あらすじ 主人公のスチュアート•ハドリーはTV店で働いている。自分は何かと違うと感じながら、あるとき、黒人教祖のベックハイムの説法を聞きいって、ベックハイムに会いにいってから、ハド…

今年読みたいSFのひとつ『最終人類』

『最終人類』は上下巻に分かれた長編SF小説。上巻は人類の主人公が種族の違う異星人の仲間たちと目的をもって宇宙に飛び出し、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』さながらの雰囲気。下巻では急転直下の展開で、壮大で哲学的なテーマになる。『三体…

12分間の短編映画を観たあと、頭と心に何かを残す『愛してるって言っておくね』

新学期がはじまり、我が子が新小学一年生として新しい生活がはじまった。親として気がかりなのは、登校時に事故に遭わないか?とか不審者に声をかけられても逃げてくることができるだろうか?など。小学四年生の長女に連れだっていてもやや不安。この時期の…

アカデミー賞発表前にノミネート作品がおうちで観れる時代になった『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜』

2021年のアカデミー賞は4月25日(現地時間)。各賞にノミネートされている作品は日本での劇場公開を待つものもあれば、配信ですでに観られるものもある。できれば映画は劇場で観たいものだが、配信で視聴することは現地とのタイムラグが少なく、作品を楽しん…

意外な結末で登場人物に感情移入しすぎるのは注意なNetflixドラマ『瞳の奥に』

ドラマの評価はIMDb 7.2、Rotten Tomatoes 63%とまずまずの評価のドラマ『瞳の奥に』。ブログタイトルでネタバレ感をだしてしまったが、ネタバレせずにこのNetflixドラマの感想を述べます。 あらすじ 主人公ルイーズは精神科クリニックで秘書をしてシングル…

SFが好きなら読んで欲しい『裏世界ピクニック』

何やら今期のアニメでやっているということで、原作小説を既刊の5巻までイッキに読んでみました。 主人公は紙越空魚(かみこしそらを)が、相棒の仁科鳥子(にしなとりこ)と裏世界と呼ばれる、奇妙な世界に行って、奇妙な生物を倒して、不思議なお宝を手に…

つらくなったら全力で逃げる『地下鉄道』

小説を楽しむ方法はいくつかある。物語の構成や描写を楽しんだり、主人公の視点から、物語の中で同じ体験を味わうのもそのひとつ。『地下鉄道』はアメリカの大規模農園の奴隷として使役されていた黒人の視点からその当時の世界を味わえる物語である。 主人公…

自由意思を扱ったSFを読んだらデネットの『自由の余地』を読むと良いよという話

テッド・チャンの作品に『予期される未来』という短編SFがある(同著『息吹』に収録)。この物語は予言機という機械があって、ボタンを押すとLEDのライトが光る。正確に言うと、押す一秒前にライトが光る。つまり、どんなに早くボタンを押そうとしても、ライ…