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『スパイダーマン:スパイダーバース』は新たなアメコミヒーローを像を生み出したのか?

予告を見るといろいろなスパイダーマンがでてくるので、わいわいガヤガヤしてみんなで悪をやっつけよー的な程度の予備知識で映画館にのぞみましたけど、まあ、そうではあるんですが、よかったですよ。以下はネタバレしないように書いているつもりです。

スパイダーマンは並行世界が許される!そうらしい。多元宇宙的、多次並行的な世界のスパイダーマンがいて、世の中を救っているようです。

主人公のマイルスは、この物語で初めてスパイダーマンになる新人スパイダーマンです。平行世界からやってくるスパイダーマン達に助けられ、成長し、マイルスが存在している世界を救うわけです。スパイダーマン達がたくさん出てくるのがこの映画の肝です。そして、今までのスパイダーマン映画にあった「ヒーローの孤独」は描かれていないです。他の世界から来たスパイダーマン達が、精神的にも技術的にも弱いマイルスを助けてくれます。マイルスはヒーローとしては孤独ではないんですね。平行世界からきたそれぞれのスパイダーマン達は、各々の世界で、たったひとりで活躍し、大ききな喪失をあじわって、すなわち「ヒーローの孤独」を感じ、世界を救っていきた先輩スパイダーマンなので、スパイダーマンになりたての主人公のマイルスと負ってきたものが段違いです。

ところが、劇中でマイルスにも、とあることで大きな喪失感が襲ってきます。先輩スパイダーマン達は、もちろんみんな経験してきたことだと、マイルスに語ります。従来のヒーローなら、ここで闇に落ちるパターンも描かれることもありますが、マイルスは先輩スパイダーマン達の力を借りて克服し、ヒーローへと成長していきます。

この描き方について個人的に思ったのは、今までの一人の優秀なヒーローが世界を救ってきたことからの開放なのかなと。ヒーローは孤独の中で、たったひとりで悪とむかっても、次から次へと新たな悪があらわれ、大切な人や家族も身の危険にさらされ、世界を救うのは正直しんどい。ヒーローは割にあってない。さらにそんなヒーローはいまでは少し古臭いのかも。

それよりもマイルスのように、先輩のヒーロー達から教わりながら、精神と技術ともに克服し、新たなヒーローへと成長した方が、言い方がよくないけれど、手っ取り早いし効率的。マイルス=新世代ヒーローなわけです。この映画のキャッチコピー「誰にでもヒーローになれる」ですからね。

ここまで、この物語のヒーローについてのテーマについてしか語ってないですけど、他にも見どころはたくさんあって、映像はアメコミを意識した表現、悪役は有名どころ多数、マイノリティについてのテーマなど、こんなに楽しめるスパイダーマンは、PS4スパイダーマン以外ないですね。(あくまで個人的な意見です笑)おすすめしたいスパイダーマン映画です!