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地球温暖化と「死滅回遊」

「死滅回遊」と聞いて、漫画『呪術廻戦』を思い出す人は多いだろう。なぜなら、この言葉を耳にするのはほぼこの作品に限られるからだ。

『呪術廻戦』における「死滅回遊」を説明すると、これは『呪術廻戦』に登場する呪術を使う術者たちが互いに命をかけて戦うデスゲームのことを指すものだ。

ちなみに、『呪術廻戦』は週刊少年ジャンプ2024年44号で最終話を迎えた。この作品はテーマが重く、登場人物たちに与えられた命題も辛いものが多い。特に、主人公である虎杖悠仁と伏黒恵がその代表である。しかし、少年漫画の王道に則り、彼らはそれを乗り越える物語となっている。最終話では、最大の敵である宿儺もまた、課せられた命題を乗り越えたのかもしれないと感じた。

『呪術廻戦』を知らない人には、この話はなんのことかわからないかもしれないが、今回は漫画の感想ではなく、「死滅回遊」というキーワードをもとに、最近のニュースを深掘りして地球温暖化について考えてみた。

「死滅回遊」という言葉の意味

『呪術廻戦』以外では耳にすることがない「死滅回遊」という言葉だが、私はこの作品以外でも目にしたことがある。北海道の某水族館に展示されていた魚の説明に、その言葉が使われていたのだ。つまり、魚類を扱う専門家には馴染みのある言葉なのかもしれない。

では、水族館で説明されていた「死滅回遊」とはどういう意味なのか?

Wikipediaでは、回遊性を持たない動物が、海流や気流に乗って本来の分布域ではない地域まで移動してしまうことがある。これらの動物は回遊性がないため、本来の分布域に戻る力を持たず、生息条件が悪化すると死滅する。この現象を「死滅回遊」と呼ぶ。しかし、この言葉はサケのように産卵後に死滅する回遊と紛らわしいため、専門的には「無効分散」と呼ばれることがある、とのことだ。

つまり、魚類が台風や気候変動によって、本来の温帯や熱帯から北方に移動し、寒冷な季節に元の地域に戻れず繁殖できずに死滅してしまう現象である。「死滅回遊」よりも専門的には「無効分散」という表現が適切だ。

しかし、近年の温暖化により、日本の南方地域で獲れていた魚がさらに北方で見られるようになり、以前獲れていた魚が獲れなくなっているというニュースが増えている。

気候変動による漁獲する魚の変化

たとえば、2023年のニュースによると、北海道函館ではイカが獲れず、ブリが豊漁だという。かつてブリは函館より南に生息していたが、近年はさらに北へ移動している。専門家は地球温暖化、とりわけ海洋熱波が原因だと説明している。海洋熱波とは、海の表面水温が異常に高くなる現象であり、通常の気候変動を超えた温度上昇が数日から数か月続くことがある。

この現象は大規模に発生し、海洋全体や特定地域に広がることがあり、生態系や漁業に大きな影響を与える。特にサンゴ礁の白化や魚の生息範囲の変化などが問題視されている。

このような温暖化により、南から北へ無理に移動させられた魚が新しい生息地を見つけ、生き延びることができるのだろうか?

漁業を営む人々は、獲れる魚の種類が変わってきていることを実感しているだろう。しかし、専門家でない私たちは、ニュースでその変化を知るしかない。夏の異常な暑さを感じ、釣りに出かけてみると、いつもとは違う種類の魚が釣れ始める。特に南国にいるような魚が釣れるようになると、温暖化が現実に迫っていることをより強く感じるかもしれない。