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観終わって鳥肌がたった映画『TENET』

映画が観終わりスタッフロールが流れるほんのコンマ数秒に鳥肌が立つという経験は多くはない。ことさらこの時期に映画館に向かわないのでそのような体験もしずらい。

しかし、『TENET』はそれをくつがえしてくれた映画である。

ネタバレをしたくないので、とりあえず観てくれと言いたいが、それでは『TENET』の魅力に言及することはできないので、可能かぎりネタバレをせずに、この映画のオススメどころを伝えたい。

『TENET』のあらすじは「未来での戦争」が起きぬよう主人公はスパイのような活躍をしていくというもの。この物語で重要なギミックが「時間の逆行」。とある装置を使って時間を巻き戻すことができる。例えば、その時点から1時間前に戻るには、今まで見てきたこの1時間を逆再生で戻ることができる。「タイムマシーン」や「タイムリープ」のようにその時点へ瞬時に跳ぶのではない。あくまで「時間が逆行」していく。

さらに、時間が巻き戻されている間をある方法を使って「順行」していくこともできる。映像では逆再生されているなかを主人公たちは進んでいくことができる。文章での表現には限界を感じるので、予告編のとこどころで逆行のシーンが挟まれているので見てほしい。

SF好きとしては、逆行していくシーンやそのなかで繰り広げられるアクションで垂涎ものなのですが、それに加えてこの「時間の逆行」シーンが訳がわからないことときたら!

初見ではちょっと難解すぎてもう1度観させて!となるはず。「あのシーンは結局どうなったっけ?」とか、「あのシーンはそうだったのか?」とか頭に「???」ばかりでてくる。このブログをポストしたらネタバレサイトに私は向います。

このコロナ禍でも日本は映画館で鑑賞できるので、リピートでもう一度観ることができますが、一部の映画館でしか上映されていないアメリカがこの映画が観れないなんてかわいそすぎる。(あなたの国はこんなすごい映画を作ってるんだぜ!)

『TENET』の監督はご存知クリストファー・ノーラン。前作の『ダンケルク』のリアルな戦闘シーン、『インセプション』の頭がこんがらがる系は『TENET』に内包されているところを感じる。終盤のシーンで、ケネス・ブラナー演じる武器商人と主人公との電話でのやりとりは突然詩的になり、やけに詩的なSF『インターステラー』を思い出させてくれる。そういえば、時間を巻き戻す系もなんかあったような…と思って『メメント』だっけ?と思ってググったらこれもノーランだった。これまでのノーラン作品をまぜこぜにして難解にした映画なので、ノーランファンは必ず観るべし。

主要出演者もさすがのセレクト。主人公はジョン・デヴィッド・ワシントン。かのデンゼル・ワシントンのご子息ですね。主人公の相棒役ニールにロバート・パティンソン。『トワイライト』のヴァンパイアの役だった方です、と言ったら通じますかね。そして、エリザベス・デビッキ様。デビッキ様の足長い!『コードネームUNCLE』のときような悪役もいいが、今回のような少し悲しげな役もよい。そして、もちろんマイケル・ケインも出演しております。出演時間はそう長くないので、見逃さなきよう。

「時間の逆行」「ノーラン節」「すばらしき出演者」の3点に加えて「音楽」も素晴らしい。不安にさせるような緊張感のあるストリングスの旋律なのに、なぜかまた聞きたくなる音楽をルドウィグ・ゴランソンが手掛けています。『ブラックパンサー』の楽曲も手掛けているのです。どちらもサントラとしてかなりオススメなので、ぜひ聞いて欲しいです。

内容にはまったく触れませんでしたが、『TENET』の個人的なオススメどころは以上です。初見で内容についてアレコレ語れる技量を持ち合わせない私が語れる映画ではなかったのでお恥ずかしいかぎり。ホントに凄い映画です。