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大人も楽しめるのか?『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』

なぜすみっこがぐらしの映画が人気らしい。 そして泣ける映画と噂らしい。 気になる。 おっさんひとりで行くのは抵抗があったので、家族を誘い奥さんと子供たちを連だって、家族皆で行く初めての映画として行ってきた。

アナ雪2の上映期間と重なってることもあって、すみっこぐらしを上映しているシアターは4割程度の人数だった。そのおかげで子供連れファミリーは気兼ねなく見れたのはよかった。 あらすじは、 すみっこたちが、ふしぎな絵本の中にすいこまれ、自分が誰なのかわからないひよこと出会い、「桃太郎」や「あかずきんちゃん」や「みにくいあひるのこ」などの絵本の世界でそのひよこの居場所をさがす物語。

冒頭はすみっこたちの紹介があって、すみっこたちがどういうものなのか、よくわからない私みたいな大人むけに、すみっこたちそれぞれ性格の説明があって、大変よかった。 たとえば、娘の好きな「とんかつ」はとんかつのはしっこで、あぶらみ99%、おにく1%、あぶらっぽいからのこされてしまった、とのこと。くわえて「えびふらいのしっぽ」とは残されたもの同士で仲がよい。へぇ〜。 こんなかんじで、すみっこたちについて無知な私に詳しくおしえてくれます。

紹介が終わると、すみっこたちが「すみっこに追いやられてるなんか切ないいものたち」となんとなくわかってくると、ん、なんか俺のこと?(わたしのこと?)とすみっこたちにちょっと共感できる自分がいるわけです。そこから物語に入りこんでいくと、なんだか、ホロホロとからだのなかで暖かい何かが通る感覚で見ることができます。

物語は悪役もなく、みんなのんびりと話がすすみ、子供むけで、わかりやすいのですが、終盤に絵本の世界から抜けだすために、自己犠牲で他者の目的を果たすというシーンがでてきます。 おそらくこの映画のテーマみたいなのが突然でてきます。おぉびっくり。 (個人的には終盤にこういうシーンがくると里見八犬伝を思いだしますな。) ネタバレになるので、詳しく書けないが、絵本の世界を脱出するために自己犠牲をおこなう場面がでてくるわけです。 なるほど、利他的行動で他者の目的をはたし、お互いに繋がり合うというのが、すみっこで表現したこの映画のテーマだったわけです。

このシーンをみると、ひとによっては現実社会の自分とかさねてしまうかもしません。 現在、人々はネットワークで繋がっているけど、本当に繋がっているのはごくわずかのような気もします。たとえば仕事やらで自己犠牲を強いられているけれど、それが本当に他者のためになっていることが不確かで、仕事なんだからと、自己犠牲があたりまえのようになって、感謝もしてくれず、人との繋がりを感じることができない。なおさら自分の犠牲はなんのために?と、たが、毎日は続くし、疲労は蓄積されていき、それでもやらないといけないことが増えていく。 そんななか、このすみっこの映画は自己犠牲が成就してくれて、登場キャラがみんなつながることができる物語で、とくにエンドロールもすみっこたちが素敵なので、それが終わるまで見ることオススメします。

ここまで書いてみると仕事に疲れた大人たちはこのすみっこぐらしの映画を観ると泣けてくるのでは?という感想もつのではないでしょうかね。 わたし自身、仕事で忙しく、孤独に精神をすりへらしていた時代に観ていたら、すみっこたちに共感しこの映画を見終わったら号泣してたかもしれません。笑

小学生以下の小さいお子さんと行く初めての映画としてはこれほど最適なものはないので、オススメです。 ちなみに、うちの小2の娘は「たのしかっけど、最後のほうは少し悲しかったね」と感想も言えてたので良かった良かった。